山形県西置賜郡小国町に、「基督教独立学園」という高校があります。

どの既成の基督教派にも所属せず、内村鑑三が唱導した自由と独立を尊ぶ無教会の立場に立ち、聖書の示す正義と平和の道を求めて1948年に設立された63年の伝統のある高校です。

農楽娘が、北アルプスの蝶ガ岳ヒュッテでアルバイトをしていたこの独立学園の生徒たちと出会い興味を持ったので、体験のために連れて行ったのです。

大岡からは高速道路を使っても約5時間かかりました。

小国町は、山形県と新潟県との県境に接しています。

日本海北陸道の北端から約1時間、米沢方面へ荒川沿いに小国街道を走りました。

とても気持ちの良い道でした。

独立学園は、一学年約25人の小さな学校です。

全寮制で、教員と生徒が敷地内で共に働き、共に学ぶ暮らしを送っています。

講堂には、「神を畏るるは学問の始め」と、日本語とヘブライ語で記されています。

独立学園の建学の理念です。

「神によって創られた人格」の尊重を自覚せしめ、天賦の個性を発展させ、神を畏れるキリスト教的独立人を養成する。

読むべきものは聖書

学ぶべきものは天然

なすべきことは労働

の言葉のごとく、聖書と自然と労働を通しての人間教育と、真理としてのキリスト教の伝道を目指す。」

そして、学園の教育方針です。

1.「神を畏れる人」を育てる

2.「天然から学ぶ」人を育てる

3.「労働することが好きな人」を育てる

4.「自ら学ぶことが好きな人」を育てる

5.「平和を作りだす人」を育てる

農楽母さんは、きちんと聖書を読んだことがありません。もちろんキリスト教の信仰もしていません。

宗教もまた、両刃の剣であると考えられるからです。

ただ、「神」と名付けられた目に見えぬ存在について、深く思索することは大切なことであろうと考えています。

独立の生徒たちは、3年間あえて不便な環境の中に身を置き、自らの心の内奥と向き合い、「問い」を生き続けることを試されます。

「あなたは自分の本当の願いを生きていますか? 誰か他の人の願いを生きていませんか?」

「あなたは、何を信じて、どんな生き方をしたい人間ですか?」

「真理(神)を畏れ、人を恐れない生き方を学べますか?」

「非戦平和を生き抜く人生を学べますか?」

これらの問いは、すべての大人たちにも問われる生き方でしょう・・・。

園芸部の畑です。有機無農薬です。作られた野菜は、全て自分たちの食事に使われます。

畜産部の活動で、牛の放牧の様子です。

この牛たちのお乳も、みんなで頂きます。

畜産部では、牛のほかに豚も飼育していました。

日に3度の食事の準備、片付けも、寮の運営も、全てが生徒たちの手によります。

働くことの喜び、誰かの役に立つことの喜び、それが自然に身に付く3年間なのでしょう。

先生は、「他の学校にも伝えたい一番のこととして、罰として労働をさせることだけはやめてほしい。労働とは本来楽しいことなのだから・・」と話して下さいましたが、本当にそうですね・・。

写真は、食堂のメニュー板です。可愛らしい!(笑)

どの生徒もキラキラと目が輝き、きちんと相手の目を見て挨拶や話が出来る。

教師や、誰かの指示を待つ生徒は一人もいない・・・。

これだけでも、本当に素晴らしい教育の成果だと思います。

教師は「生徒を管理する目」を捨て、生徒の「自治の力」を信じ抜く、のだといいます。

これは、楽ではない、とても大変なことなそうです。 

確かに、殆どの教育現場で行われているように、「管理する」ほうがどれだけ楽なことでしょう・・・。

そして、教師も生徒も、「どこまで嘘のない生活」ができるか?と、それぞれが自らに問い続けながら学園生活を送るのです。

翌9月11日には、初めて礼拝というものを体験させて頂きました。

礼拝の中で行われる生徒の「感話」には、涙がこぼれ落ちそうになりました。

深く物事を感じ、考え抜かれた言葉の持つ力の強さ、それは、もはや誰か一人の悩みや迷い、苦しみではありません・・・。

雪のように真っ白くありたいと願っても、人の心の汚さやずるさ、嘘、偽り、言い訳に直面して挫けそうになる心。

それは自らの、そして誰の心の奥にも存在する「闇」であるから余計に苦しい。

どこまで目をそらさずに、自らの心と他者の心とに向かい合い生きて行こうとすることが出来るのか、、、

キリスト教では善良で弱きものたちを羊に例えるそうです。

羊という生き物の特徴は、従順、そして無防備。

従順で無防備なものたちが身を守るすべは、聞き分けることのできる「耳」を持つことしかないのだそうです。

最後に、、、独立学園の通信「独立時報」、素晴らしい通信です。

生徒たちの「感話」、ぜひ読んでみてください。。

独立学園の先生方、生徒の皆さん、2日間、心の奥深くに響く体験やお話しを本当にどうもありがとうございました。

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