Archive for 5月, 2010
「やったーーー!!無事巣立ったーー!」
その瞬間を見ることが出来、喜びと感動で興奮したのもつかの間、どうも母家の裏のほうからピピちゃんのか細い声が聞こえてきます・・・。そこへ向かってみると案の定、物置小屋の裏の隙間にまたキョトンとした顔で座っているではありませんか・・。
農楽母さんは、鳥の巣立ちとは充分に飛べるようになってから行われるものだと思っていたのですが、実は、まだヨチヨチ状態でも親は巣立ちを促すことがあるのだそうです。親はちゃんとピピちゃんの居場所を知っていて、すぐ近くで警戒音(ジジジーと、威嚇するような鳴き声)を出しています。上空ではトビが旋回しているし、地上にいればネコやヘビもやってくる・・・・不安は募るのですが、少し離れたところから様子を伺うことにしました。
親は、小屋の裏のピピちゃんがいる所まで青虫を運び、「まだそこに居なさい!」とか、「少しこっちへおいで!」などと指示をして、エサを与えながら少しずつピピちゃんと一緒に移動しているようでした・・。そして数時間後、ピピちゃんも親も姿が見えなくなってしまいました。。母家の裏の原野のほうへと少しずつ移動して行ったのです・・。
こうやって巣立ったヒナは1ヶ月くらいは親にエサをもらいながら一緒に行動を続けるそうです。しかし、せっかく巣立ったヒナ達もその殆どが栄養不足や天敵による捕食によって死んでしまい、無事成鳥になれる確率は1割ほどしかないのだそうです・・。
自然の厳しさですね・・。
「ピピちゃん、何とか無事に生き延びて・・」
3年前のこの出来事があってから、農楽母さんは鳥達の行動に心を寄せることが多くなったのでした。。まだ、猫チャイが農楽里ファームへやってくる前の出来事でした。。
一羽残されて、おびえきっているヒナをどうしたら良いのか・・・、幸い、親鳥は必死になって世話に通っていましたが、シジュウカラの親は夕方になるとねぐらに帰ってしまいます。5月の夜間の冷え込みには巣の中でたった一羽では耐えられないでしょう。。
その日から、埼玉在住の鳥の専門家の友人に事細かにメールでアドバイスをもらい、夜間はヒナを家の中に保護して青虫を与え、翌朝は日の出前に郵便受けの巣に戻し、親鳥の行動を観察する、という毎日が始まりました。
ヒナにはピピちゃんという名前をつけました。
ピピちゃんはまだ、羽も生えそろわず、目も開ききらず、本当に弱々しい姿でした。。
いつまたヘビがやってくるかわからないので、郵便受けにはヘビ返し(ヘビが巣まで上がって来られないように)トタンの板を郵便受けの下に取り付けました。周囲には籾殻くんたんを播きました。
そして農楽母さんは、親がエサを与えに来ている日中は郵便受けの前にとめてある車の中に隠れ、ひたすら見張りを続けました。何しろいつまたヘビがやってくるかわかりませんから・・。ヘビ避けの見張り番というわけです。
こうして、昼は親鳥、夜は農楽家族という連係プレーで、ピピちゃんは一日一日大きく立派になっていきました。
日中、親は7~8分おきに巣箱にやってきては青虫を与えたり、巣の中の糞をくわえて外に捨てに行ったり・・たった一羽になってしまったヒナでもかいがいしく世話を続けます。そしてピピちゃんには様々な鳴き方でいろいろなことを教えているようでした。オスとメスとの会話、そしてヒナとの会話。鳥は、かなり高度な言語を有しているのだな、と感じました。
そして4日後のこと、、、来客中にまた巣箱が空になっていたのです。目を放した隙にもしやまたヘビにやられたのか!、と焦ったのですが、さにあらず・・・。
そうです。。親鳥に促されて巣立とうとしたのでした。しかし、まだ殆ど飛べません。。。母屋の隣の作業小屋にキョトンとしているではありませんか・・農楽母さんは更に焦り、焦りに焦りながらも、もう一日保護しようと判断。再びヒナを巣箱に戻しました・・。(この判断が良かったかどうかはわからないのですが、翌日はもう少し飛べる様になっていたので良かったのだと思います。。)
翌日、早朝から一生懸命にエサを与えていた親鳥が、午前10時半頃からまったく与えなくなりました。エサは運んでこないのですが、5~6分おきにやってきては「もうそろそろ巣箱から出なさい」と、ピピちゃんに巣立ちを促し始めたのです。
その声に促されてピピちゃんもまた勇気を出して巣から顔を出しました。
そして、しばらくキョロキョロと周囲の様子を伺っていましたが、、、パッと親鳥のいるほうへと飛び立ったのでした。
巣立ちの瞬間でした・・・。
この季節は、小鳥たちの産卵、そして子育ての季節です。
空を飛び交う様々な小鳥達の鳴き声には、きれいなさえずりの中に巣(子ども)を守るための警戒音が交じります。その声を聞いていると、3年前に農楽里ファームで繰り広げられた物語が思い出されました。。
今から3年前のこと、、、、シジュウカラという可愛い小鳥が農楽里ファームの郵便受けに巣を作りました。。お父さんは本当にキリリとした美しいシジュウカラでした。
どこから集めてきたのか、郵便受けの中にはコケや綿など、ふわふわとしたものが敷き詰められていきました。そして、小さな卵が増えて行きます。
ですので、郵便受けはこのようになりました。
そして、数日後、可愛い雛が9羽生まれました。
しかし、なんとか皆無事に巣立ってほしいとどきどきしながら見守っていたある日のこと、、9羽のうち8羽が忽然と消えてしまったのです。。その、2,3日前に、大きなシマヘビが母屋のすぐそばに現れていたので、きっとそのシマヘビに食べられてしまったのでしょう。。ヒナ達が育ち、鳴き声も大きくなってくるとどこからかヘビがやってくると聞いていましたが、本当でした。。。。
「元気かなあ・・」と、様子を覗こうと郵便受けのフタをを空けた瞬間、ふわふわだった綿がペタンコになり、ヒナの姿が一羽も見えなかったときのショックは今でも忘れられません。。。べそをかき、腰を抜かしそうになりながらも巣をよくよく見てみると、隅の方でもそもそと動く小さなお尻が、、、何とか必死に恐怖から逃れようと、顔を綿に突っ込み、隠れようとしている一番小さくみそっかすの雛が残されていたのでした・・。
元気だったお兄ちゃん達8羽はヘビに食べられてしまい、そのおにいちゃんたちに踏みつけられあまりエサを分けてもらうことが出来なかった一番のチビが生き残ったのでした。。
ジャガイモがすくすくと育っています。
でも、ジャガイモの害虫「ニジュウヤホシテントウ」が今年もしっかりと現れました。
彼らに食べられた葉っぱはこのようにきれいなレース状になっていきます。
しかし、自然界が作り出す造形の美しさに浸ってはいられません。。毎日ジャガイモ畑を見回って、見つけ出しては一匹一匹つぶします。イモムシでもニジュウヤホシテントウでも・・・この「つぶす」という行為、出来るようになるまでは数年を要しました。。
ある日ある時、「自分が害虫たちを≪反射的≫に迷いなくつぶすことが出来るのならつぶせば良い、出来ないのなら無理しなければよい」、と悟ったのでした。蚊に刺されたとき、反射的にパチンと叩いてつぶす、その感覚です・・・。
そして、同じジャガイモ畑に獣害の不安要素が出現しました。。
自らのテリトリーを宣言するかのような挑戦的なフンを発見。。
テンよりは大きく、イノシシよりは小さい・・・ためフンではないのでタヌキではないだろうし、、ハクビシンか、はたまた小型のイノシシか・もしイノシシだとしたら、、、小芋が出来る頃、一晩で全滅の可能性もあります・・・。
こちらはニンジン畑。農楽娘と草取りをしました。赤ちゃんニンジンはとても繊細なので、草に支えられながら立っています。草は取りすぎてもいけないし、逆に取らなすぎればニンジンが埋もれてしまいます。。微妙な按配が必要です。
「たあくらたあ」20号が発行されました!
「たあくらたあ」とは、信州の言葉で「ばかもの」とか、「おっちょこちょい」「のんきもの」のこと。編集者も発行所も執筆者もまったくのボランティア。でも、ボランティアだからこそ出せる力というものがあるのです。
毎号毎号読み応えのある内容で、購読者は長野県内にとどまらず、他県の読者からも「今の時代にこんなミニコミがあるなんて本当にすごい!」といわれている冊子です。そして、今号の表紙写真はなんと、農楽母さん!
集落のおばあちゃんではありませんよ(笑)
今号の特集1は、『山は未来を担う』。炭焼き師の原伸介さん、ハンターの後藤光章さん、そして、ホスピタリティー研究所の高野登さんのスペシャル対談や、「こつなぎ」という入会地をめぐるドキュメンタリー映画の紹介等等・・。農楽母さんの拙文も載っておりますよ。。
今朝も、冷蔵庫の中にいるような寒い朝です。
昨日は上田市のコラボ食堂のスタッフの皆さんが農楽里ファームへ遊びに来てくださいました。コラボ食堂は、地産地消の拠点、食の発信基地とし昨年11月に上田市柳町にオープンしたコミュニティレストランです。
日替わりシェフによるランチが大人気です!
農楽里ファームは、次回6月20日に有機ランチの日としまして、雑穀とお野菜、旬の山菜類のランチを提供いたします!皆様どうぞお越しください。
チャイを抱いているのは、コラボ食堂シェフのリーダーにゃんこ先生。ニャンコがにゃんこに抱かれる、の図也。
本日発送の季節の野菜セットです。今の季節は野菜よりも野生の山菜が多いのですが!山ウド、タラの芽(2番芽)ノビル、アサツキ、山フキ、ミツバ、セリ、水菜、ニラ、ブラックペパーミント・・。これに、自家製の味噌を少し付けまして・・・この味噌は、大豆も米も全て農楽里ファームの自家製。米麹も手作りです。アサツキやノビルにつけてお召し上がりくださいね!
今日も強い雨の一日でしたので、外での農作業はお休み。
午後は、常日頃敬愛しておりますTさんのご紹介により、某時、某所にて、某事を生まれてはじめて経験してまいりました・・。その、激しくエネルギッシュなパワーに圧倒され、まるで遊園地にてジェットコースターとコーヒーカップを同時に体験し、しかも全身がばらばらになるような感覚に襲われました。。はじめての扉を開くとき、どうしても少しは気後れがするものですが、Tさんに背中を押して頂き飛び込むことが出来ました。どうもありがとうございました!!
濃密、充実した農楽里の田植えが終わり、今日は静かな雨の一日でした・・。東京からお越しのヒナちゃん、ヨウスケ君も昨日の疲れがあってかのんびりしていました。しかし、猫はのんびりしていられません。。
クロネコのおじさんも猫をかまいます・・。
映像企画会社「水の和」さんの撮影は本日も夕方まで続きました。高須さん、カメラマンさん、どうもお疲れ様でした。
今日は、盛りだくさんの「農楽里の田植え」の一日でした。
長野や松本、そして東京、横浜からお客様がお見えになりました。
まずはお手製のスジ付けで、30センチ角の格子状のスジをつけて歩きます。
このスジの交点に、苗を植えていくのです。苗は、ポット苗で育てました。
ユニークなお尻が勢ぞろい!の光景。泥の感触を楽しみながら、苗を植えていきます。
全身で笑っているのは、泥の中ですってんころりんと転んだヨウスケ君。泥まみれになって最高の笑顔でした!
こちら、長野の将来を大きく変える鬼門会の美女軍団。美貌も頭脳もお尻も最強です!
お昼は砂糖を使わず、干し柿で甘みを出したという昔のおはぎ作りを体験。イノシシ肉のチャーシューの差し入れなどもあり、山の恵みに溢れたお昼ごはんでした。
そして午後は、長老池内朝雄先生のお話会。
手振り身振りを交えたお話はとても深い内容で、どの言葉も心に沁みました。
「昔の農民は、、、一鍬一鍬、300坪も耕すというのは・・・大地と取っ組み合いだった。だがそれは、外から見れば大地に向かう姿だけれども、自己と格闘する姿だった。哲人と同じ、本気で自己に向かい合う姿だった。」
「昔の農民には知恵、創造があった。自然や農具へ感謝する姿もあった。」
「谷間に光を」という言葉があるが、谷間に外から愛の手を差し伸べるのではなく、谷間自体が光を発するようにならなければならない。」
池内先生のお話は、タイトル無しの「だいなし」の話で始まり、最後に参加者が先生の話にタイトル(題)をつけました。
夕方、昭和初期の風情を残す古民家で、みんなで記念撮影をしました。
今日は朝早くから映像企画会社「水の和」の高須さんとカメラマンさんが撮影に見えていたのですが、夜遅くまで本当にどうもお疲れ様でした!!